写真出典:IMDb
BBCドラマ「フリーバッグ」を紹介します。
おもしろい海外ドラマはないかなと検索していると、レビューサイトなどで評判がいいのがドラマ「フリ—バッグ」。なので以前から非常に気にはなっていたのですが、Amazonの紹介文を見ると「皮肉屋で性欲は強め」ではじまっていて、AVは好きでも性に奔放なドラマは好きではないというややこしい性格の持ち主としては、なんとなく敬遠していました。バナーの画像を見ても、涙で化粧が落ちているのでしょうか、ちょっと怖いんですよね。アンハッピーエンドも好んで見ることはありません。とかなんとかいっても見ていないのでどんな話なのか、実のところまったくわかりません。そうしたら2019年のエミー賞では、コメディ部門の6部門で受賞するなどやっぱり評価が高い。1話30分程度だし、ちょっと見てみるには好都合です。見てみました。
フリーバッグの概要
写真出典:IMDb
初回放送日:2016年7月21日
全6話 各30分弱
放送局:英BBC One/英BBC Two
脚本・主演は劇作家でもあるフィービー・ウォーラー=ブリッジ
2019年(第71回)エミー賞のコメディ部門で、作品賞や主演女優賞、監督賞、脚本賞など6部門を受賞
2019年テレビ批評家協会賞でプログラム・オブ・ザ・イヤーを含む最多3部門を受賞
2019年に放送されたシーズン2で完結
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フリーバッグのあらすじ
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「好きな男が、火曜日の深夜2時に会いに行きたいってメールを送ってきたらどうする? 今帰ってきたところ、みたいな振りをしてベッドから起きて、ワインを飲んで、シャワーを浴びて、むだ毛の処理をして、勝負下着一式付けてドアの前に立ってブザーが鳴るのを待つ」
そんな台詞ではじまります。
皮肉屋で性に貪欲、プライドが高くて虚勢を張って生きている女性、通称フリーバッグが主人公です。彼女はドラマ内で名前を呼ばれることがないため、名前はわかりません。「フリーバッグ(fleabag)」は「薄汚い人」「安宿」といった意味の英単語です。意訳するなら「クズ」といったところでしょうか。
ロンドンに住む女性フリーバッグは、カフェを経営しています。しかし客足は遠く、店を続けていくことが厳しくなっていました。融資を受けるため銀行へ向かうと、バスの中で冴えない男性にナンパされます。しかし連絡先を教えました。彼女の浮気が原因で恋人と別れたばかりだったため、男性に飢えていたのです。
銀行へやってきたフリーバッグは、融資について相談しますが、話がスムーズに進まないとわかると服を脱ぎ出します。銀行の支配人は怒り、融資は断られます。
その後、予定していた講演会で姉に会うと、着ている服が姉から盗んだものだったことに気付きます。さらに実家に寄ると、父親の再婚相手が飾っていた貴重品を盗み去ります。換金するためです。
主人公フリーバッグは、浮気はするし人のものは盗むし会話は下品だし人が嫌がることばかりします。まったくのクズ人間。しかし問題なのは彼女だけではありません。姉は潔癖症で他人に触れることができないうえ、恋愛に依存していてキャリアを捨てようとしています。父親は自分の幸せを優先し、父親の再婚相手は家族の過去をなかったことにしようとしています。セクハラ親父や変態的な嗜好の持ち主など、出てくるのは一癖も二癖もある人物ばかり。
しかし彼らも悩みを抱えて生きていました。
「人間は間違いを犯す。だから鉛筆には消しゴムが付いている」
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フリーバッグの感想
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まず抱く感想は、下ネタの連続で下品。セフレにお尻をやられたことを回想し、自分の穴の大きさを気にして叫ぶ。恋人が寝ている横でオバマ大統領の動画を見ながら自慰行為。自分の性器をスマホでバシャバシャ撮影。姉の荷物から大人のグッズを発見して喜ぶ。笑える人は笑えるのだと思いますが、ちっとも笑えません。
そしてこのドラマの最大の特徴が、フリーバッグが視聴者に話しかけてくるメタ演出です。古畑任三郎が視聴者に話しかけてくるアレです。フリーバッグがやたらとこっちを見てニヤついたり、そのシーンの感想やら登場人物の説明やらを話しかけてくるのです。ときどき漫画でも見かけます。漫画のコマの欄外に作者が登場人物への突っ込みや説明なんかを書き込んでいる。寒い。寒すぎる。制作者の得意げな顔が見え隠れして嫌なんです。
と酷評気味ですが、救いとして1話が短い。25分程度。そして全6話。全部見ても短い。評判いいみたいだし、あと1、2話ぐらい見てみるかという気にさせてくれます。
そんなこんなで最終話。いやちょっとビックリ。主人公が抱えている大きな悩みが判明します。結構ショッキングでした。それまで赤裸々に自分のことをこちらに明かしてきた主人公だけに、最後までそのことに気付かなかったことへの衝撃が大きいです。「木を隠すなら森の中」とでもいいますか、逆か、いろんなことを明かしていたくせに大事なことは黙っていた。
ホント、クズだなあ。でも本人もわかっています。だから悩んでいる。いつの間にか共感していました。悲しくなってくる。
最後、ちょっと希望が見えました。シーズン2で完結しているので見てみたくなります。作りがうまい。
シーズン2へ続きます。
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フリーバッグの登場人物
フリーバッグ
演:フィービー・ウォラー・ブリッジ
主人公。
ロンドンに住む女性。皮肉屋で毒舌家、盗難癖があり、下品でセックス依存症。友人のブーとはじめたカフェを経営していますが経営難に陥ってます。
演じるフィービー・ウォラー・ブリッジは本作で脚光を浴び、スターウォーズのスピンオフ作品「ハン・ソロ/スター・ウォーズ」(2018年)では、女性型ドロイドの声とモーションキャプチャーを担当しました。
また、2019年のエミー賞では、彼女が主演、脚本、制作総指揮を勤める本作がコメディドラマ部門で作品賞を受賞。本人も主演女優賞と脚本賞を受賞しています。
ブー
演:ジェニー・レインズフォード
主人公の親友で一緒にカフェを経営していましたが、恋人の浮気が原因で自殺しました。
クレア
演:シアン・クリフォード
主人公の姉。キャリアウーマン。栄転を取って単身赴任するか、夫との生活を取るか悩んでいます。主人公いわく「神経質で美人、たぶん拒食症。だけど何を着ても似合う」
パパ
演:ビル・パターソン
主人公の父親。妻を亡くしたあと、ゴッド・マザーと再婚しました。主人公いわく「再婚後、母親を亡くした娘たちに電話もできず、フェミニストの講演会のチケットを送ってくる」
代母
演:オリビア・コールマン
主人公の名付け親で父親の再婚相手。芸術家。名前はわかりませんが、キャストではGod Motherと紹介されています。直訳すると「代母」の意味で、キリスト教の洗礼式で子どもに名前を与える女性のことです。主人公いわく「意地悪な継母ではなくてクソ女」
マーティン
演:ブレット・ゲルマン
クレアの夫ですが、15歳の連れ子がいます。セクハラな行動が多い。
ハリー
演:ヒュー・スキナー
主人公の元カレ。繊細ですぐに泣く。
銀行の支配人
演:ヒュー・デニス
主人公が融資を依頼しに行った銀行の支配人。キャストではBank Managerと紹介されています。セクハラ事件を起こしたことがあります。
アーセホール・ガイ
演:ベン・オルドリッジ
主人公のセフレ。名前はわかりませんが、キャストではArsehole Guyと紹介されています。直訳すると「お尻の穴の男」です。
バス・ローデント
演:ジェイミー・デメトリオ
主人公にバスで声をかけてきた男性。名前はわかりませんが、キャストではBus Rodentと紹介されています。Rodentは「げっ歯類」の意味。「バスのねずみ」といったところでしょうか。
フリーバッグを見る
フリーバッグは、Amazonプライムで視聴できます。
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