Netflixドラマ「メシア」を紹介します。
現代の中東に突然現れた男性と、彼を救世主と崇める信奉者たち、彼の正体に疑問を抱くCIAの姿を描いたサスペンスドラマです。
概要
タイトル:メシア
原題:MESSIA
制作:Netflix
配信年:2020年1月
エピソード数:全10話(各話45分程度)
「メシア」は、もともとヘブライ語で「油を注がれたもの」を意味する言葉でした。古代の中東では、支配者や祭司が即位するときに頭に油を塗る儀式が行われていたため、転じて救世主を意味するようになりました。アラビア語ではマスィーフ、英語ではメサイアといいます。なお、メシアのギリシア語訳がクリストスで、キリストの語源となりました。
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あらすじ
中東シリアに現れた男性が、砂嵐を起こしてイスラム過激派集団ISIL(アイシル)から首都ダマスカスを救いました。人々は、彼をアル・マスィーフ(メシア/救世主)と呼んで崇めはじめます。
アル・マスィーフは、信奉者を引き連れてイスラエルへ向かいますが、イスラエル警察に捕まります。しかし拘置所から姿を消すと、エルサレムに現れました。発砲事件で被弾した少年を救うと、次には竜巻に襲われた米テキサス州に現れます。
米CIA捜査官エヴァ・ゲラーは、彼の目的と正体を探りますが、名前や年齢、出生地など一切が不明でした。
登場人物の紹介のあと、各話を紹介します。
登場人物
アル・マスィーフ
演:メディ・デビ
「アル」はアラビア語で人名につく冠詞、「マスィーフ」はメシアを意味する単語です。
本名や年齢、出生地など、一切不明。
中東に突如現れ、人々から救世主(メシア)と崇められます。
天災を予言する、亡くなった少年を蘇らせる、水上を歩くなどの奇跡を見せます。
エヴァ・ゲラー
演:ミシェル・モナハン
CIA捜査官。
中東に現れたアル・マスィーフの正体と目的を探ります。
アヴィラム・ダハン
演:トメル・シスレー
イスラエル公安庁(通称シンベト)の捜査官。
ジブリル・ハッサン
演:サイード・エル・アラミ
アル・マスィーフを信奉する青年。
サミル
演:ファレス・ランドゥールシ
ジブリルの友人。
フェリックス・イゲロ
演:ジョン・オーティス
米テキサス州の田舎町ディリーにある教会の牧師。
アナ・イゲロ
演:メリンダ・ペイジ・ハミルトン
フェリックス牧師の妻。
レベッカ・イゲロ
演:ステファニア・オーウェン
フェリックスとアナの娘。
反抗的な性格の少女。てんかんを患っているため、ときどき発作を起こします。
エドマンド・デギル
演:ボー・ブリッジス
アナの父親。フェリックス牧師の義父。
テレビ番組の司会者。
キャサリン・ベイリー
演:バーバラ・イヴ・ハリス
米CIA管理職。エヴァの上司。
カマル・マルーフ
演:アッサード・ブアブ
米CIA捜査官。エヴァの同僚。
アル・マスィーフについて中東で捜査を続けます。
エヴァとメッセージをやり取りしている「Q」はカマル(Qamar)のこと。
ゼルマン・カッツ
演:フィリップ・ベーカー・ホール
エヴァの父親。
ウィル・マザーズ
演:ウィル・トラヴァル
米FBI・テロ対策チーム(JTTF)の捜査官。
ベアマン
演:ドヴィル・ベネディク
イスラエル公安庁(通称シンベト)の長官。
アヴィラムの上司。
ミカ・ダハン
演:ロナ=リー・シモン
アヴィラムの妻。
アヴィラムとの間には娘エリーがいますが、仕事のために家庭を顧みない夫を見限っています。
ミリアム・キニーリー
演:ジェーン・アダムス
米ニュース番組の記者。
ステイシー
演:エミリー・キニー
小児がんを抱えた娘レイアを治すため、アル・マスィーフを頼ります。
ジョナ
演:ジャクソン・ハースト
ステイシーの夫。
ヤング大統領
演:ダーモット・マローニー
アメリカ大統領。
キャメロン・コリアー
演:マイケル・オニール
大統領補佐官。
ダニー・カルマニ
演:イクバル・テバ
中東担当の米国外務次官。
エリアナ
演:チェルシー・ニーブン
アル・マスィーフの部屋を訪ねる女性。
オスカー・ウォレス
演:クリストファー・ハイアーダール
危険思想の持ち主。
第1話「耳ある者」
中東シリアの首都ダマスカス。1人の男が人々に向かって神の教えを説いていました。
このとき、イスラム過激派集団ISIL(アイシル)の軍がダマスカスに迫っていましたが、砂嵐によって撤退します。
1ヶ月後。中東を監視していたCIA捜査官のエヴァ・ゲラーは、ダマスカスにいた男性が、2000人の難民を率いてイスラエルへ向かっていることを知ります。
彼は、奇跡を起こして敵を撃退したと信じられ、「アル・マスィーフ(救世主)」と呼ばれるようになっていました。
アル・マスィーフに率いられた集団は、シリアとイスラエルの国境へやってきますが、アル・マスィーフは国境警備隊に逮捕されます。
イスラム警察のアヴィラム捜査官がアル・マスィーフを聴取しますが、目的や素性はわかりません。しかし彼はアヴィラムの名前や、触れられたくない過去のことを知っていました。不快感を覚えたアヴィラムは聴取を中断し、監視カメラの記録映像を消去します。
その後、アル・マスィーフが拘置所から姿を消します。
第2話「震え」
アル・マスィーフがいなくなったことを知ったCIA捜査官のエヴァがイスラエルにやってきます。聴取で何があったのか、記録が消去されてしまったためわかりません。アル・マスィーフを逃した犯人としてアヴィラムが疑われます。
シリアとイスラエルの国境付近には、難民たちが残っていました。彼らは、アル・マスィーフが警察からいなくなったことを知ります。
夜、アル・マスィーフを信奉するジブリルは、何者かにさらわれます。
アル・マスィーフは、エルサレムの神殿の丘に現れました。観光客たちに演説をはじめると、イスラエル警察が駆けつけます。銃声が響き、少年が撃たれました。アル・マスィーフは傷をふさぎ、少年を生き返らせます。
その様子を、観光客たちはスマホで撮影し、世界中に拡散しました。
エヴァは、神殿で起きた事件の映像を見て違和感を抱きます。すべてアル・マスィーフの演出かもしれません。被害にあった少年と母親を訪ねると、彼らは行方不明となっていました。
その後、エヴァは、ヨルダンの監視映像にアル・マスィーフを発見します。
第3話「神の指」
米テキサス州の小さな町ディリーが竜巻に襲われました。そこへアル・マスィーフが現れます。
竜巻によって町は壊滅的な被害を受けますが、教会は無事でした。神の加護かもしれません。さらに、外出していた少女レベッカはアル・マスィーフに救われました。レベッカの父親であるフェリックス牧師は、アル・マスィーフを神の使いだと信じます。
その後アル・マスィーフは不法入国者としてFBIに捕まり、イスラエルに強制送還されることになりました。フェリックス牧師は弁護士を雇います。
イスラエルにいたエヴァは、アル・マスィーフを追って米国へ戻ってきます。ヨルダンからどうやってアメリカへ渡ったのか。彼には協力者がいるに違いありません。
アル・マスィーフを聴取しようとしますが、弁護士から禁じられます。
中東では、ジブリルを連れ去ったのはアヴィラムでした。アヴィラムはジブリルを監禁してアル・マスィーフについて尋問しますが、ジブリルにも彼のことはわかりません。
第4話「試練」
エヴァは、アル・マスィーフを聴取する機会を得ました。しかし彼の回答は抽象的なものばかりです。一方で彼はエヴァのことを知っています。エヴァは動揺します。
アル・マスィーフの保釈またはイスラエルへの強制送還をめぐって裁判がはじまりました。アル・マスィーフが難民かどうかが争点になると、アメリカで移民問題が再熱します。
結果、アル・マスィーフは釈放されます。
中東では、アヴィラムがアル・マスィーフを聴取したときのことを明かさないため解雇されます。また、監禁されていたジブリルは脱走し、サミルに発見されます。
第5話「見ても見えず」
世界中でアル・マスィーフのことが話題になり、米テキサス州ディリーには報道関係者や彼に救いを求めるものたちが集まります。
イスラエル警察を解雇されたアヴィラムもやってきました。アヴィラムはアル・マスィーフを見つけて銃を向けますが、撃つことができません。アル・マスィーフは町外れに向かうと、瓦礫に埋もれて瀕死の犬を銃殺し、飼い主に向かって、楽にしてあげたと言います。
FBIのウィル捜査官は、エヴァとアル・マスィーフの聴取をひそかに録音していました。アル・マスィーフの言葉が、過激論者オスカー・ウォレスの著書の引用であることをエヴァに教えます。
中東シリアとイスラエルの国境付近では、難民たちがアル・マスィーフを待ち続けていました。しかし彼を信じられなくなったものたちもいました。ジブリルの親友サミルもその1人です。彼らはヨルダンへ向かいます。
第6話「ことごとく眠るにはあらず」
中東でアル・マスィーフについて調査していたカマル捜査官から連絡が入り、エヴァはアル・マスィーフの名前がパヤム・ゴルシリだとわかります。
ディリーには相変わらず人々が集まってきます。アル・マスィーフは、フェリックス牧師に出発を命じます。牧師は、命じられたものの、どこへ向かえばいいのかわかりません。明確な目的地もないまま、人々を率いて東へ向かいます。
夜、人々に同行しているエヴァは、アヴィラムにアル・マスィーフの本名を教えます。
そして、集団はワシントンD.C.にやってきました。アル・マスィーフは人々とともにナショナル・モールへ現れると、決起を促しました。そして、自分を信じるように唱えると水の上を歩きはじめます。
同じころ、中東では、無抵抗の態度を示したジブリルが国境を越え、難民たちがあとに続きます。
第7話「アブラカダブラ」
水面を歩いたアル・マスィーフのことがニュースになり、ますます話題を集めます。米政府もアル・マスィーフを無視することはできません。
エヴァは、アル・マスィーフと過激論者オスカー・ウォレスの関係について報告します。ウォレスはロシアに亡命しており、アル・マスィーフの行動にはロシアが関係している可能性があります。しかし証拠が必要です。
ワシントン D.C.のホテルに泊まるアル・マスィーフのもとに、ステイシーがやってくると、娘レイアの治療を懇願しました。アル・マスィーフはレイアと向かい合います。様子を監視していたエヴァとウィル捜査官には、2人が会話しているだけのように見えます。
その後、アル・マスィーフのもとにエリアナがやってきました。エリアナは彼を誘惑しますが、アル・マスィーフは静かに拒否し、癒やしの言葉を投げかけます。
監視していたウィル捜査官は感動します。
その後、アル・マスィーフは何者かに拉致されます。
イスラエルでは、国境を超えて人々を導いたジブリルが神聖視されます。
ヨルダンでは、サミルが思想的な指導を受けます。
また、カマル捜査官がパヤム・ゴルシリ(アル・マスィーフ)の兄を探し出しました。兄弟は、両親を戦争で亡くしたあと、大道芸人の叔父に育てられたことがわかります。
第8話「神の行為」
ホテルからアル・マスィーフを連れ去ったのは政府でした。米大統領に面会したアル・マスィーフは、目的を尋ねられると、米軍を世界中から撤退するように答えます。
大統領は無茶な要求だと思いましたが、神を信じろというアル・マスィーフの言葉に悩まされます。
エヴァは、パヤム・ゴルシリが在籍していた大学で情報を集めますが、ゴルシリが書いた論文は大学図書館に保管されていませんでした。
ウィル捜査官は同性愛者で、パートナーとの関係を公表できずに悩んでいました。しかしアル・マスィーフとエリアナのやり取りを聞いて決意。捜査から退きます。
アル・マスィーフは、会見を開き、大統領と対談したことを明かしました。フェリックス牧師は何も聞かされていません。さらに、娘レベッカが中絶していたことがわかりました。妻は知っていたようです。フェリックス牧師は不満を高めます。
1人でいたアヴィラムのもとにアル・マスィーフが現れました。アヴィラムは、アル・マスィーフの本名がわかったことを明かします。そして奇跡を見せるようにからかいました。
アル・マスィーフは平然とした様子で、娘に電話するように忠告します。
アヴィラムがイスラエルにいる娘エリーに電話すると、妻ミカが浮気していることがわかりました。失意のアヴィラムはエヴァを訪ねて癒やしを求めると、エヴァは迷いながらも追い返します。
その後アル・マスィーフは大統領に時間がないと警告します。
フロリダで洪水が発生。大統領が慰問します。
イスラエルでは、拘置所からアル・マスィーフを逃したのが看守だったことがわかります。
アル・マスィーフに言い寄ったエリアナは、キャメロン補佐官に会うと、お金を返します。アル・マスィーフのことを探るように政府に雇われていたのですが、後悔していました。
第9話「神は偉大なり」
無実が判明したため、アヴィラムが復職します。
フロリダで洪水が起きたため、エヴァの父親が避難してきました。エヴァは、父親に認知症の兆候が見られるため心配です。
また、ステイシーとレイアが家に戻りました。ステイシーの夫ジョナは、彼女が娘の化学療法を中断し、正体もわからない男を頼ったことが許せません。
フェリックス牧師は、自分の役割がわかりません。主導権を持つためにアル・マスィーフのテレビ出演を企画。アル・マスィーフはレベッカの同伴を条件に承諾します。
エヴァは、アル・マスィーフ(パヤム・ゴルシリ)がかつて自分を救世主と思い込んで入院していたことを知ります。また、ロシアへの通話記録を見つけました。直接電話すると、オスカー・ウォレスにつながりました。パヤムを操っているのはウォレスと確信しますが、逆でした。ウォレスの方がパヤムに影響を受けていたのです。
また、エヴァの父親は現実的な考えの持ち主で、エヴァにも大きな影響を与えてきました。しかし非現実的な感覚や信仰への関心を強めていました。エヴァはこれまでの生き方を否定されたように思えて失望します。
疲れたエヴァはアヴィラムを訪ね、2人は結ばれます。
アル・マスィーフの演説を伝えるテレビ番組がはじまりました。出演の時間が迫りますが、彼の姿はありません。アル・マスィーフは、アヴィラムとともに車でどこかへ向かってしまいました。
代わりにレベッカがステージに立つと、アル・マスィーフをたたえたあと、発作を起こして倒れます。
イスラエルでは、ジブリルがパレスチナ解放を訴える演説を強要されます。そこへサミルが現れました。彼の体には爆弾が装備され、手には起爆スイッチが握られていました。しかし親友ジブリルの姿を前にしたサミルはスイッチを押すことができません。様子を察した工作員は、遠隔操作で爆発させます。
第10話「罪の報い」
イスラエルで爆破テロ事件が起き、多くの犠牲が出ました。ジブリルは一命をとりとめます。
アヴィラムは、アル・マスィーフを空港へ連れてくると、米政府専用機で飛び立ちました。気づいたエヴァは、フライトレーダーで専用機の位置を見守ります。
テレビ番組の放映中に倒れたレベッカは病院で目覚め、アル・マスィーフは戻らないといいます。
アル・アスィーフを乗せた政府専用機は、イスラエルへ向かっていました。突然、エンジンが爆発します。
アヴィラムは、少年時代、テロ事件に巻き込まれて家族を失いました。その後捜査官になり、あるときテロ組織の隠れ家に侵入しました。犯人グループの少年を捕まえると、彼は、アヴィラムが家族を失う原因となったテロ事件の首謀者の息子でした。アヴィラムは、命乞いする少年を射殺しました。アヴィラムが触れられたくない過去です。
墜落する飛行機の中で、アヴィラムは死を覚悟し、涙を浮かべて少年へ謝罪します。
フライトレーダーから信号が消え、エヴァは飛行機が墜落したことに気づきました。米政府が仕組んだことでした。パヤムから真相を聞き出す機会は永遠に失われました。
キャメロン補佐官は、メディアにアル・マスィーフの正体をリークします。すぐにニュース番組で取り上げられ、人々に失望が広がりました。
レイアが亡くなり、ステイシーは絶望します。
フェリックス牧師はディリーに戻り、教会に火を付けます。
中東のどこか。学校の授業に遅刻した少年は、誰にでもわかる嘘をついて言い訳しました。
その後、少年は砂漠で墜落した飛行機の残骸を発見します。飛行機の周囲にだけ花が咲いています。アル・マスィーフの姿があり、アヴィラムが起き上がりました。少年は、アヴィラムに近づくと、アル・マスィーフが生き返えらせたと言います。アヴィラムにも、自分が生き返ったのか、気絶していただけなのかわかりません。
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