Amazonで配信されている「イエス・キリストの生涯」を見ました。米・歴史専門チャンネルが制作した教養番組です。ドラマ作品ではなくドキュメンタリー作品です。
東方の三賢人や聖母マリア、ユダの裏切りといった言葉は聞いたことがあるのですが、詳しいエピソードは知りません。クリスマスやイースターなど、キリスト教のイベントは身近になっていますが、よくは知らないことばかり。興味深かったので見てみました。
ドラマとしてイエスの生涯が再現され、ところどころで大学教授やイエス関連書籍の執筆者、研究者たちの解説が入ります。NHKやEテレでやっていそうな番組。歴史なんとかとか、なんとか偉人伝みたいな。ただし再現ドラマのクオリティが高いです。ドラマとして見たい。
概要
イエス・キリストの生涯を解説するドキュメンタリードラマ。
イエスの養父ヨセフ、イエスを洗礼したヨハネ、イエスの母マリア、エルサレムの大司祭カイアファ、裏切り者ユダ、総督ピラト、マグダラのマリア、弟子ペテロという8人の人物の視点を通し、大学教授や研究者たちの解説を交えながらイエスの生涯を追います。
原題：JESUS： HIS LIFE
制作：米ヒストリーチャンネル
放送年：2019年
全8話（各話およそ45分）
年齢制限：13歳以上推奨
性的なシーンはありません。肉片が飛び散るような凄惨なシーンはありませんが、イエスが処刑される場面はあります。直接的ではありませんが、痛々しいです。また、十字架に磔（はりつけ）にされているシーンはショッキングかもしれません。
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登場人物
イエス・キリスト
1世紀ごろ、パレスチナで宗教活動を行った男性。「キリスト」は救世主を意味する単語で、名前ではありません。
彼の死後、ペテロやパウロといった弟子たちによって彼の教えが広まり、「新約聖書」としてまとめられました。キリスト教では、信仰対象である唯一神と同一の存在とされています。
紀元前4、5年ごろ、ローマ支配下にあったパレスチナのベツレヘムで生まれました。誕生日についての記録はありませんが、12月25日とされています。
30歳ごろ、洗礼者ヨハネから洗礼を受け、ユダヤ教の改革的な一派として活動をはじめます。それまでの記録は残っていないため、どこで何をしていたのかはわかりません。
病人や娼婦、奴隷といえども自分たちと同様に接し、道徳的な指導を行っていきます。
弟子のひとりであるユダの裏切りによって逮捕され、十字架に掛けられて処刑されます。しかし数日後、復活したと伝わっています。
養父ヨセフ
イエスの養父。大工とされていますが、近年の研究では、大工と特定されるものではなく、建築関係の仕事をしていたようです。事実はどのようなものだったかわかりませんが、自分の子ではない子を妊娠して現れた婚約者を苦悩のすえ許します。
聖母マリア
イエスの母。ヨセフと婚約していたマリアは、結婚前、親戚エリサベトのもとで過ごしました。番組では、当時のユダヤ人の習慣だったのではないかといいます。そして3か月後、妊娠して帰ってきます。イエスは本当は誰の子だったのでしょう。
洗礼者ヨハネ
ユダヤ教の指導者。ヨルダン川でイエスに洗礼を授けます。キリスト教の先駆者と位置付けられ、イエスに洗礼を行った偉大な人物とされています。イエスの弟子である同名のヨハネと区別するため、弟子の方を使徒ヨハネ、こちらを洗礼者ヨハネと呼びます。
番組では、ヨハネはイエスの友人であり師匠だったといいます。
大司祭カイアファ
ユダヤ教の大司祭。イエスは弟子たちに守られ、ロバに乗ってエルサレムに入ってきました。古代イスラエルの王の戴冠式を模しています。カイアファは、メシア（救世主）を名乗り、奇跡を起こして人びとの関心を集めるイエスを危険視し、殺害を計画します。
イスカリオテのユダ
イエスの弟子のひとり。イスカリオテはユダヤ語で「ケリヨテの人」の意味。ほかの弟子はガリラヤ出身ですが、ユダだけは違いました。
彼の裏切りが原因となってイエスは捕まるのですが、裏切った理由は今も謎に包まれています。番組では、ユダの考えるメシア像とイエスは違っていたためだろうとしています。
カイアファはイエスを捕らえたいのですが、イエスは人気があるため人がいる場所では実行したくありません。ユダは、イエスがひとりでいるところを教えます。
総督ピラト
ローマ帝国から派遣された、ユダヤ属州の総督。聖書では残酷な総督として描かれますが、史実では平和的で堅実な人物だったようです。
カイアファの告発によってイエスを捕らえますが、有罪とする理由は見つかりませんでした。しかしカイアファたちに先導された民衆の要求に応えてイエスを処刑します。
マグダラのマリア
イエスに従う女性。イエスの死を見届けました。マグダラは地名。ユダヤ教には女性を弟子にする習慣がなかったため、彼女は娼婦や妻だったのではないかといわれてます。一方でイエスは男女の隔たりなく迎え入れたとの解釈もあります。
弟子ペテロ
弟子のひとり。イエスの死後、イエスの教えを広めた人物。ペテロは「岩」の意味で、イエスがあだ名を付けました。名前はシモン。彼を礎にして教えを広めていくという意味を込めているそうです。初代教皇とされ、ローマで布教したとされていますが、番組では、当時のローマの住民の記録にペテロの名前は残っていないといいます。
感想
天使ガブリエルが黒人だったり、みんな顔が似ていて誰がヨハネで誰がヨセフで誰がアンデレかよくわからなかったりします。
字幕には「イエス」と出ているのですが、登場人物たちは「ジーザス」と呼びます。マリアはメアリーでペテロはピーター、メシアはメサイアです。当然とはいえ、英語だと発音が違うことがちょっと新鮮でした。
マグダラのマリアが出てきて映画「ダ・ヴィンチ・コード」を見たくなりました。
イエスが磔になったあと、槍で刺した兵士がいましたが、彼がロンギヌスさんだったのでしょうか。彼はアニメ「エヴァンゲリオン」に出てくる槍の名前の由来となった人物です。
やや退屈です。ご飯を食べたりスマホを見たりしながら、ながら見すると、字幕なので何を言っていたのかわからなくなることがあります。
途中途中に研究者たちの解説が入ります。当時のユダヤ人が置かれていた社会的状況やローマ帝国支配下にあるエルサレムの状況、最新の研究による人物の解釈などは知的好奇心を刺激されておもしろい反面、再現ドラマ部分が遮られるのでテンポが悪いです。ドラマ部分をいっきに見せてくれて、あとからいろいろ解説してくれてもよかったかなと思いました。
アメリカではキリスト教がどのような扱いなのか気になったのでちょっと調べてみました。信仰自体は制限されていませんが、いろいろな考えがあって扱いはなかなか繊細なようです。
州によって違うのですが、信仰の強い地域では、学校で進化論を教えないところもあるそうです。その場合、世界は神様が創造し、人類はアダムとイブから生まれたと教えます。2019年の時点でおよそ40％の米国人が創造論を信じているという記事もありました。
今、日本で、事実かどうかは別として、どのくらいの人が世界は神様に作られたと考えているのでしょう。
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イエス・キリストの誕生から、死、そして復活まで。壮大で感動的なドラマと、世界で最も権威ある聖書学者や歴史学者らの、福音書や文化的背景を織り交ぜた解説と共に、救世主イエス・キリストの生涯を徹底解剖する！（Amazon紹介文）
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