反逆の盗賊団 Netflixドラマのあらすじとネタバレ 登場人物を紹介

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Netflixで配信されている海外ドラマ「反逆の盗賊団」を紹介します。
欧州フランダース地方に18世紀に実在した盗賊団のリーダー、ヤン・ドゥ・リヒトをモデルとしたドラマです。

圧政に苦しむ民衆を救う、ロビンフッドや怪傑ゾロのような義賊が活躍するアクションドラマかと思って見始めたのですが、実在した人物をもとにした歴史ドラマでした。
アクション性は薄く、爽快感や娯楽性はありません。
ただし、主人公が犯した罪の真相にまつわるミステリー要素やヒロインとのロマンス、下層身分からの脱却を夢見る女性や犯罪に巻き込まれていく男たちの姿には引き込まれます。
また、当時の人びとの生活や風俗、環境などを垣間見ることができます。中世から近代にかけてのヨーロッパの薄汚い雰囲気が好きな方には興味深いかと思います。

Netflix公式サイト

概要

原題:De Bende van Jan de Lichte
英題:Thieves of the Wood
配信:Netflix(2020年1月)
制作:ベルギー(2018年)
言語:フランス語/オランダ語
全10話(各50分程度)

舞台は1747年のフランダース地方。フランダース地方はフランドルとも呼ばれ、現在のオランダ南部、ベルギー西部、フランス北部にまたがる地域です。「フランダースの犬」で有名なアントワープ、運河の町として栄えたブルージュ、世界最古のカトリック大学があるルーヴェンといった都市が有名です。


(写真出典:世界の歴史まっぷ 当ブログで加工)

中世には毛織物業を中心に発展し、ヨーロッパ経済の中心として栄えました。
ドラマの時代はフランダース伯の領地ですが、独立性を持ちながらもフランスの支配下にあり、オーストリア継承戦争(1740年-1748年)の影響を受けます。
その後フランス革命(1789年)が起きるとフランダース伯は廃止され、ベルギー王国の成立などを経て現在の形に分割されます。

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あらすじ

1747年のフランダース地方。貴族たちが不正を働いて優雅な生活を送る一方、人びとは増税と賦役に苦しめられ、小さな罪を犯しても厳重に処罰されていました。
そんな中、従軍していたヤン・ドゥ・リヒトが戦地から戻ってきます。ヤンは人びとが圧政に苦しめられ、町を逃げ出して森に暮らしていることを知ると、彼らのために立ち上がります。
人びとはヤンに信頼を寄せますが、ヤンは仲間の兵を殺した脱走兵でした。ヤンを慕っていたエロイーズは失望し、多額の借金を負っているティンクはヤンにかかる賞金に興味を抱きます。

登場人物の紹介のあとネタバレしています。

登場人物

ヤン・ドゥ・リヒト

演:マッテオ・シモーニ
もと兵士。戦争から戻ってくると、友人エミルの死を遺族に伝えます。
圧政に苦しむ人びとのため立ち上がります。

実在した人物ヤン・ドゥ・リヒト(1723-1748年)がモデルになっています。

バル管理官

演:トム・ヴァン・ダイク
町に派遣されてきた法務管理官。
法による秩序の回復に努める一方で、腐敗した貴族たちに逆らう勇気はありません。

ティンク

演:ステフ・アーツ
ヤンの幼なじみ。かつてバーを営んでいましたが、戦争で失います。
町から森に追放された無法者たちをまとめています。

エロイーズ・エンボ

演:シャーロット・ティマース
ヤンの友人エミルの妹。
ニコライ・ヘルダーホーデとの政略結婚を強いられます。

アン・マリー

演:アンヌ=ラウレ・ファンデプッテ
孤児。養護施設で育ち、市長の趣味のために売られました。
バルに助けられると、売春宿に逃げ込みます。
別れることになった妹イザベルのことを心配しています。

コファイン

演:ディルク・ローフトホーフト
市長。

ブノワ・ヘルダーホーデ

演:ブルーノ・バンデン・ブリュッケ
町会議員のひとり。
エロイーズのエンボ家が貴族の家系と知り、家名を手に入れるため息子ニコライとエロイーズの結婚を進めます。

ニコライ・ヘルダーホーデ

演:リク・ヴァーヘヤ
ブノワの息子。エロイーズと婚約します。

パイケ

演:ピーター・ゴリセン
町の司祭。

ラデマッカース

演:ダミアン・ド・シュライバー
徴税担当官。

シュー

演:アネモネ・ファルケ
ティンクの仲間。

メイビス

演:リック・ウィレムス
ティンクの仲間。

ヴァーゲネンデ

演:イウェイン・セガース
ティンクの仲間。呪術師・医者。

マリーケ

演:ソフィー・ド・ブリー
森の野営地の少女。

シモン

演:マーク・ヴァーストリート
町を仕切る犯罪組織の首領。「鉄のシモン」と呼ばれています。

スパニョール

演:ティーボ・バンデンボール
シモンの右腕。

横目

演:イェロン・ペルセヴァル
シモンの部下。

ミシェル・エンボ

演:ピーター・ド・グリフ
エロイーズの父。
貴族の家系ですが、今は町で印刷所を営んでいます。

マグダ

演:インゲ・ポールソン
バルに仕える秘書。

ミンナ

演:グリート・ヴァーストリート
ロマの女性。「ロマ」は各地を放浪する人びとのことで、ジプシーとも呼ばれます。

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ネタバレ

戦争に従軍していたヤン・ドゥ・リヒトが故郷の町へ帰ってきます。エンボ氏が経営する印刷所を訪ねると不在でした。しかし勤めていたはずの女性ベスについて従業員に尋ねると、森にいるかもしれないと聞かされます。

ヤンが森へやってくると盗賊たちが襲ってきました。しかし彼らを率いているのが旧友のティンクとわかると、2人は再会を喜びます。そしてティンクは森の野営地を案内します。野営地には町での苦しい生活から逃れてきた人びとが集まっていました。ヤンは母親ベスが亡くなったことを知ります。

ティンクとは行動をともにできないというヤンは、自由と平等を求めて米国へ渡りたいといいます。この頃、米国はまだ独立していません。それこそ英仏の植民地だったはずなので、自由と平等の新天地といえるのかどうか疑問です。

一方、町に派遣されてきた法務管理官のバルは、コファイン市長が貴族たちと秘密の集会を開いているところを目撃します。バルは集会から逃げ出した女性アン・マリーを助けました。しかしアンはバルを見ると恐れて逃げ出し、売春宿に逃げ込みます。

その後バルはアンの素性を調べ、彼女が養護施設で育ったこと、施設には彼女の妹イザベルがいることを知ります。

翌日、ヤンは改めてエンボ家を訪ね、一緒に従軍していたエンボ家の嫡子エミルが戦死したことを伝えます。
その帰り道、男たちに捕まってしまいました。ティンクはヤンを救出しますが、男たちが賞金稼ぎで、ヤンはエミルを殺害して軍を逃亡したために追われていることがわかります。ティンクは借金を返すためヤンを捕らえて賞金を得ようとしますが、ヤンは貴族たちが乗る駅馬車の襲撃を提案します。

盗賊たちは武器を調達するため、森で狩猟をしている貴族を襲いました。襲われた貴族は、エロイーズと彼女の婚約者ニコライでした。エロイーズはエミルの妹で、自分たちを襲ってきた盗賊団のひとりがヤンであることに気づきます。

銃を手に入れた盗賊たちは、計画を実行します。
ティンクは売春宿で知り合ったアン・マリーを変装させて駅馬車に乗り込ませました。アンが発作の演技をして馬車を止めさせると、それを合図に盗賊たちが襲いかかります。
盗賊たちは積み荷を奪いますが、積み荷の護衛のため同乗していたバルはアンに気づきました。彼女を追いかけて捕まえると、アンの妹イザベルの情報をもとに協力を持ちかけます。
バルはアンを密偵として無法者たちと接触させ、無法者をまとめているヤンのことを聞き出します。

町では、市長が町を発展させるため道路の整備事業を計画します。森に住んでいる無法者たちを無償で働かせればコストはかかりません。犯罪組織の首領シモンに作業員の調達を依頼します。

ヤンはエロイーズに密会すると、襲ったことを謝罪します。エロイーズは幼いころからヤンを慕っており、怒るどころかヤンが戻ってきたことを喜んでいるようです。
エロイーズはニコライとの政略結婚を望まず、ヤンについて町から連れ出します。

婚約者が消えたとなれば貴族たちの威厳に傷が付きます。密かにエロイーズの捜索を頼まれたシモンは、ティンクに取り引きを持ちかけました。エロイーズを探し出せばティンクを売春宿の店主にするといいます。

ティンクはエロイーズを両親のもとに返すようにヤンを説得しますがヤンは拒否しました。そこでティンクはヤンの手配書をエロイーズに見せます。ヤンが兄エミルの殺害犯と知ったエロイーズはヤンのもとを去り、町へ戻ります。

エロイーズが見つかり、売春宿の経営をまかされましたティンクはアンを愛人にします。しかしアンが横目に襲われると、横目に重傷を負わせました。横目はシモンの息子だったため、ティンクはシモンの一味から狙われます。
ヤンはシモンの拠点を訪ね、抗戦を宣言しますが、親子関係がうまくいっていなかった横目はシモンを銃殺。組織を乗っ取ります。

ヤンはロマの野営地に潜んでいましたが、アンから隠れ場所を聞き出したバルによって捕まります。ヤンは処刑され、バルは町会議員のメンバーに昇格。養護施設からアンの妹イザベルを引き取りました。

そして1年後。道路は整備され、交易によって町は潤います。しかし作業に当たった民衆には報酬は支払われていません。さらに市長は運河開発という新たな事業を計画します。

エロイーズはニコライと結婚しましたが、ヘルダーホーデ家にとってエロイーズは家系を存続させるための道具でしかありません。

そんな中、町で年に一度の式典「聖血の行進」がおこなわれます。そしてミサの最中、司祭のパイケが巡礼者のひとりに刺殺されます。

エンボ家には、将校ケゼルがエミルからの手紙を持って訪ねてきます。手紙にはエミルが戦争によって心を病んでしまったこと、罪悪感から自殺を考えたが実行できなかったためヤンに頼んだことが書かれていました。
エロイーズも兄エミルの死の真相を知ります。

森の野営地ではヤンの一周忌を迎え、ティンクたちが追悼していました。そこへヤンがあらわれます。ヤンは死刑執行人に助けられて生きていました。
巡礼者に成りすまして司祭パイケを殺したのはヤンでした。
ヤンは自分を死刑に追いやったコファイン市長、バル管理官、パイケ司祭に復讐するつもりです。そして最初の目的を達成したのです。

ヤンたちはヘルダーホーデ家に侵入すると、金庫からお金を盗み出し、エロイーズを連れ出します。
そしてかつて襲撃した駅馬車の戦利品に金塊が隠されていたことがわかります。森に追放されていた人びとは再起するための資金を得ました。

エロイーズを連れ去られたニコライは、エンボ家にやってきてエロイーズを侮辱します。エロイーズの父は娘の結婚生活が不幸なものであることを知っていました。ニコライを射殺すると森へ逃亡します。

町にはヤンが生きているという噂が流れはじめ、アンはヤンの復讐を恐れます。そこでアンはヤンに取り引きを申し出ました。アンがコファイン市長を誘い出すと、待ち伏せしていたヤンやティンクは市長に油をかけて火を付けます。

バルが新たな市長に任命されます。しかし司祭、市長が殺され、次は自分の番だとバルは恐れていました。アンの手引きによってヤンに面会すると、ヤンのこれまでの罪を白紙に戻すことにします。ヤンもバルの命を狙わないことを約束します。森の民衆たちには金塊が手に入り、強盗を働く必要はないのです。
バルは自宅に戻ると、アンがコファイン市長暗殺の手引きをしたことに感づいていました。アンとイザベルを町から追放します。別れ際、アンは自分を救ってくれたバルに感謝します。しかし自分のことだけを考えているバルと、民衆のことを考えているヤンではヤンの勝利だといい残しました。
侮辱されたバルは、町の近くに駐留している仏軍の兵を部下に襲わせます。森の無法者に襲われたと勘違いした仏軍は野営地に報復。ヤンの仲間たちは命を落とし、ヤンは再び逮捕され、処刑されます。

ヤンの処刑はラドブレーケン(radbraken)という方法だったと記録され、ドラマで再現されています。「rad」は古いオランダ語で車輪の意味、「braken」はbrake(破壊する)の活用形です。車輪にくくりつけてハンマーで叩きつけるという刑法でした。

バルは通りを歩いているときマリーケに刺されて命を落とします。

数年後。どこかの海辺でエロイーズがヤンのことを回想します。そして彼女の視線の先には、ヤンの少年時代を思わせるひとり息子の姿がありました。

7話でヤンは一度処刑されます。ドラマの途中だったのでなかなか意外な展開だったのですが、生きていたのでさらに驚きました。しかし罪悪感を抱いていた死刑執行人の介護によって救われたというのがちょっと説得力に欠ける気がしました。

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