写真出典:IMDb
Netflixオリジナル映画「エノーラ・ホームズの事件簿」を紹介します。
名探偵シャーロック・ホームズ作品のスピンオフというのか、パスティーシュというのか、シャーロック・ホームズの妹エノーラが活躍するミステリ映画です。
概要
原題:Enola Holmes
配信:Netflix
配信年:2020年
配信時間:123分
米児童文学作家ナンシー・スプリンガーのミステリ小説「エノーラ・ホームズの事件簿シリーズ」を映画化したもの。もともと劇場公開される予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の流行のため中止となりました。
その後Netflixが配信権を獲得し、2020年9月にNetflixオリジナル映画として配信しました。
Netflixオリジナルドラマ「ストレンジャーシングス」でヒロインを演じたミリー・ボビー・ブラウンが主人公エノーラを演じるほか、映画「マン・オブ・スティール」やドラマ「ウィッチャー」で主演したヘンリー・カヴィルが共演することも話題です。
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あらすじ
19世紀末のイギリス。エノーラ・ホームズが16歳の誕生日を迎えた朝、母親が失踪しました。兄マイクロフトによって寄宿学校に預けられることになると、自由を求めて家を飛び出します。そして母親を探すためロンドンへやってきます。
しかし途中、命を狙われている青年貴族テュークスベリーと知り合い、貴族たちの陰謀へと巻き込まれていきます。
兄シャーロック・ホームズに劣らない推理力と母親から英才教育を受けた行動力を持つエノーラ。彼女は母親に再会できるのでしょうか。そして失踪理由は判明するのでしょうか。さらに青年貴族が命を狙われる理由と犯人はわかるのでしょうか。
人物紹介のあとにネタバレしています。
登場人物
エノーラ・ホームズ
演:ミリー・ボビー・ブラウン
マイクロフトとシャーロックの妹。父親を早くに亡くし、年の離れた2人の兄は家を出てしまっていたので、兄たちとは疎遠です。しかし母親から歴史や科学、芸術、格闘術などの英才教育を受けて育ちました。
エノーラ(Enola)のスペルを逆さに読むとAlone(「ひとり」の意味)。ひとりでも生きていけるようにという思いを込めて付けられた名前だそうです。ちょっとかわいそう。
演じるミリー・ボビー・ブラウンさんは、Netflixドラマ「ストレンジャーシングス」でヒロインのエル(イレブン)を演じて注目を集めました。
テュークスベリー
演:ルイス・パートリッジ
亡くなった父親バジルウェザー侯爵の後を継いで議員となった青年貴族。
貴族の生活に魅力を感じないため家出したところ、エノーラと出会います。
何者かに命を狙われています。
ユードリア・ホームズ
演:ヘレナ・ボナム=カーター
エノーラの母親。エノーラ16歳の誕生日に失踪します。
シャーロック・ホームズ
演:ヘンリー・カヴィル
ロンドンの名探偵。
ホームズものでワトソンが出てこないのが残念。
演じるヘンリー・ガヴィルさんはNetflixドラマ「ウィッチャー」で主人公ゲラルトを演じています。
マイクロフト・ホームズ
演:サム・クラフリン
シャーロックとエノーラの兄。政府の役人。
後見人としてエノーラの生活面で資金援助してきました。
レストレード警部
演:アディール・アクタル
スコットランドヤードの警部。シャーロックの友人。
BBCドラマ「レ・ミゼラブル」では憎たらしいテナルディエを演じました。
テュークスベリーの祖母
演:フランシス・デ・ラ・トゥーア
テュークスベリーの祖母
リントホーン
演:バーン・ゴーマン
テュークスベリーの命を狙う暗殺者。
バーン・ゴーマンさんはいろいろなドラマで見かけます。「ゲーム・オブ・スローンズ」のカール・タナーや「高い城の男」の賞金稼ぎ、「エクスパンス」のマートリーなど、憎まれ役が多いようです。
ハリソン先生
演:フィオナ・ショウ
寄宿学校の先生。
マイクロフトに依頼され、エノーラを規律正しく、伝統的な女性に育てようとします。
イージス
演:スーザン・ウォコマ
ユードリアの友人。エノーラが幼いとき、武術を教えたことがあります。
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ネタバレ
エノーラの母親ユードリアが失踪した理由は、自分が政治活動に関わっているため、エノーラに危険が及ぶのを心配したためです。
青年貴族テュークスベリーの命を狙っていたのは彼の祖母です。
イギリス議会では、選挙権の改正法案が議題となっていました。法案が改正されて選挙権が拡大されると、貴族の権力が弱くなります。テュークスベリーの祖母は、貴族の権力を守っていくことがイギリスの繁栄につながると考えていました。そこで改正に賛成する息子(テュークスベリーの父親)を殺します。そして後を継いだ孫テュークスベリーも改正に賛成していたため、リントホーンに暗殺を依頼しました。
エノーラは早くに父親を亡くし、年の離れた兄たちは家を出てしまったため、母親のユードリアひとりで育てられました。家族との思い出はあまりありませんが、歴史や科学、スポーツ、芸術などの知識について英才教育を受けています。
そしてエノーラが16歳の誕生日を迎えた朝、ユードリアが失踪します。
ユードリアが失踪したため、兄のマイクロフトとシャーロックが帰ってきました。兄妹は数年ぶりに再会しますが、マイクロフトはエノーラを寄宿学校へ預けるといいます。
自由奔放に育ったエノーラは、寄宿学校の束縛に耐えられそうにありません。家を飛び出すと、母ユードリアが残したメッセージをもとにロンドンへ向かいます。そしてロンドンへ向かう汽車の中で、隠れていた青年テュークスベリーに遭遇しました。父の後を継ぐことになったテュークスベリーは、自由を求めてやはり家を飛び出てきたと言います。エノーラはテュークスベリーを追い払いますが、彼を襲う男が現れました。エノーラはテュークスベリーを助け、2人は走る汽車から飛び降ります。
2人がロンドンへやってくると、選挙法の改正と行方不明になった青年貴族のことが話題となっていました。
エノーラはテュークスベリーと別れ、母ユードリアが残したお金でアパートの部屋と新たな衣装をそろえます。そして母親が手紙をやり取りしていた相手イージスを訪ねます。しかし手がかりはありません。
次に母親が参加していた会合を思い出しました。仲間たちと交わしていた会話に出てきた場所を調べると、大量の火薬や実験の形跡が見つかります。ユードリアは何か危険なことを計画しているのかもしれません。
そこへ汽車で襲ってきた男リントホーンが襲ってきました。エノーラはどうにか逃げ出しましたが、テュークスベリーに危険を知らせた方が良さそうです。
エノーラはテュークスベリーを見つけるため、手がかりを求めてテュークスベリーの実家・バジルウェザー侯爵家へやってきます。そこにはレストレード警部がいました。警部もテュークスベリーの捜索で訪れていたのですが、エノーラと一緒に追い返されます。
しかしエノーラは屋敷の庭でテュークスベリーの祖母に遭遇しました。彼女はイギリスの将来と孫の行方を心配します。
その後エノーラはテュークスベリーとの会話を思い出し、彼の居場所を見つけ出しました。
エノーラが自分のアパートにテュークスベリーを連れてくると、レストレード警部が現れます。エノーラはテュークスベリーを逃がしますが、警部の目的はエノーラでした。マイクロフトがエノーラの捜索願を出したのです。そして賞金がかかっていたため、エノーラにアパートを紹介した女性が警察に通報し、警察が駆けつけました。
エノーラはマイクロフトのもとに連れ戻され、寄宿学校に預けられます。しかしテュークスベリーが救出に現れます。テュークスベリーは2人でロンドンに隠れることを提案しますが、エノーラはテュークスベリーの暗殺を依頼した人物が誰なのかが気になっていました。
テュークスベリーは父の後を継いだため議会の投票権を持っています。投票権を狙う叔父の陰謀と考え、証拠を探すためバジルウェザー侯爵家に戻ってきます。
2人が侯爵家に忍び込むと暗殺者リントホーンが待ち伏せしていました。エノーラとテュークスベリーは協力してリントホーンを倒します。
リントホーンに依頼主について問い詰めると、彼は「イギリスだ」と答えて息を引き取りました。直後、銃を抱えた祖母が現れてテュークスベリーを撃ちます。テュークスベリーは銃弾を胸に受けて倒れます。
テュークスベリーが議会に出席すれば改正法案が議決する可能性があります。貴族の弱体化を危惧する祖母は、テュークスベリーを殺し、彼の叔父を議員として送り込もうとしていました。
エノーラが倒れているテュークスベリーのもとに駆け寄ると、彼は生きていました。屋敷に飾ってあった甲冑の胸当ては服の下に付けていたため助かりました。
後日。スコットランドヤードにシャーロックがやってくると、テュークスベリーの命を狙う人物を推理して当てます。しかしレストレード警部は、すでにエノーラが解決したといいます。
シャーロックは先を越されたことを悔しがりますが、妹の活躍に満足そうです。
イギリス議会では、テュークスベリーが賛成に投じたことで選挙の改正法案が通過します。
エノーラがアパートに戻ると、母ユードリアが待っていました。彼女は人権運動に参加しており、エノーラの活躍で選挙法が改正されたことを称賛します。
そして危険な活動に関わっているためエノーラの身を案じて家を離れたことを説明します。エノーラは、捨てられたわけではないことを知り、母親の気持ちを理解します。
(完)
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感想
ストーリー的に目を見張るような展開はありません。「なぜ母親は失踪したのか」「テュークスベリーを狙っている人物は誰か」といったミステリーは、早い段階でなんとなく想像が付きます。物足りないドラマといえるかもしれません。
ただ、逆にとてもわかりやすいストーリーです。主人公エノーラの衣装がころころ替わるのも華やかです。理屈っぽい設定などもないので何が起きているのかわからないといったことはありません。また、グロテスクなシーンや性描写、恐ろしいシーンもありません。家族で安心して楽しめるドラマになっています。
ヘンリー・カヴィル演じるシャーロック・ホームズは、外見的にたくましすぎるかなという印象はあります。でもこれまでにもいろいろなシャーロック・ホームズが登場しました。これはこれでいいかなと思いました。ただ、あまり活躍しないのが残念。シャーロック・ホームズとしてのイメージがどうこうよりも、ストーリー的にシャーロックの妹でなくてもいいんじゃないかなと思いました。
ドラマ化してワトソンやモリアーティにも登場して欲しいです。
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