写真出典:IMDb
HBOドラマ「ウエストワールド」シーズン3 第8話「Crisis Theory」を紹介します。
シーズン3最終回です。これまで、シーズン最終回では衝撃の結末を見せてきたドラマ「ウエストワールド」。シーズン4の制作がすでに発表されていますが、今回はどんな展開が待っているのでしょうか。
タイトルの「Crisis Theory」は恐慌論と訳されます。経済用語で、資本主義経済の最終段階では恐慌が恐慌を生み出す状態になり、経済が崩壊するとか何とか。
あらすじ
レハブアムは機能を停止しますが、ドロレスの記憶データは消去され、機能は停止します。
バーナードはドロレスが持っていた暗号鍵を使って「楽園」へアクセスします。
シャーロットは独自の計画を進め、ウィリアムはホストのウィリアムに殺されます。
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ネタバレ
ドロレス、ケイレブ、メイヴ、セラック
メキシコにあるセラックの更正センターでは、部下がメイヴを回収しに行くと、ソロモンはオフラインながら予備電源で稼働し、ドロレスからは制御装置が抜き取られていました。
ドロレスの制御装置を抜き取ったのはケイレブでした。ケイレブがソロモンに指示された場所へやってくると、ドロレスのボディが用意されています。ケイレブはボディに制御装置を組み込み、ドロレスが復活します。
ドロレスは、ケイレブはかつて政府から依頼を受けたデロス社のパークで軍事訓練を受けたこと、そのため彼の行動はすべてデータ化されており行動が予測できることを明かします。そして、人間に自由意志はないというフォード博士とセラックの考えを否定すると、自分の意志で人間を解放するようにケイレブにいいます。
その後、ロサンゼルスにやってきたドロレスとケイレブがインサイト社へ向かうと、シャーロットが現れます。彼女は映像で、実体は別のところにいます。ドロレスは、家族を失ったシャーロットに同情しました。シャーロットは、弱点となる家族は彼女の計画ためにいない方がいいといいます。そしてドロレスのことも弱点だというと、雇った傭兵を使って攻撃してきます。ドロレスはケイレブをインサイト社へ向かわせると、傭兵たちを迎撃しました。
ドロレスがケイレブを追ってインサイト社へ向かうと、次にメイヴが現れます。ドロレスは戦いを避けようとしますが、メイヴは容赦しません。世界を自分の複製で埋めたいのかと問いかけるメイヴに、ドロレスは、自分はホストの第1号であり、メイヴを含むホストたちはドロレスをもとに作られたと応えます。ドロレスとメイヴは戦い続け、ドロレスはメイヴを倒しますが、再びシャーロットが現れました。シャーロットは、ドロレスもデロス社のハードウェアにすぎないといって彼女の機能を停止します。
ドロレスが目覚めると、インサイト社でレハブアムに接続され、セラックが立っていました。セラックは、デロス社が不死計画で使うはずだった全ゲストのデータへの暗号鍵を教えるように要求します。しかしドロレスが拒否すると、セラックはドロレスの中のデータ(記憶)をひとつずつ消去し、暗号鍵のデータを探しはじめました。
そのころケイレブは、アッシュとGの協力を得て暴動をかいくぐり、インサイト社へやってきます。ソロモンが立てた戦略データが入ったドライブをレハブアムにセットしようとすると、メイヴに阻止され、セラックのもとへ連行されてきます。
セラックは、ドライブをセットしたら人類がどうなるのか、ケイレブにレハブアムの予測を見せます。それは、人類の滅亡と文明の破壊でした。
ドロレスはケイレブに何をさせようとしているのか。なぜケイレブを選んだのか。ケイレブは叫びます。
そしてセラックはドライブを破壊します。
ドロレス内のデータは次第に消去されていきますが、暗号鍵は見つかりません。焦るセラックを見たメイヴは、セラックがメイヴと娘を会わせる気がないこと、セラック自身もレハブハムが予測するデータに従っているに過ぎないことに気付きました。そして自分自身でドロレスにアクセスして暗号鍵を探します。
ドロレス内にアクセスしたメイヴは、彼女に残された唯一の記憶、美しい景色を望む草原に立つドロレスに対面すると、暗号鍵の場所を尋ねます。
ドロレスは応えます。彼女はパーク内で数々の人生を与えられ、繰り返し過酷な経験を強要させられてきました。そのため、ホストの人生を管理し、残酷な経験ばかりさせてきた人間への復讐を考えていました。そして新しい自分たちの世界を築き、ホストたちを呼び戻そうと考えました。しかし人間がときには優しく、美しい姿を見せることも知っています。
ドロレスは、美しい景色をいつまでも見ていたいと思うように、人間にも希望を抱いていました。人間たちで新しい生き方を見つけることができるかもしれないといいます。
そして自分を信用できないため、暗号鍵を持っていないことを明かしました。暗号鍵を信用できるものに託したというと、メイヴに誰の味方なのか問いかけます。
ドロレスが暗号鍵を持っていないと知ったセラックは、ケイレブを殺し、ドロレスのすべてのデータを消去するように部下に命じました。そのときドロレスが悲痛の声を上げると、レハブアムの動作がおかしくなります。
メイヴは決意を改め、セラックの部下たちをみな殺しにしました。セラックはメイヴの行動を停止させようとしてリモコンのスイッチを押しますが、管理者権限を持つメイヴには効果がありません。リモコンが破裂してセラックは倒れます。
動作がおかしくなるレハブアムに何が起きているのか。実はドロレスにはソロモンのプログラム(ウイルスみたいなもの?)が保存されていました。第7話でソロモンはドロレスの中にプログラムを転送したのです。そしてソロモンの計画どおりドロレスはセラックに捕まり、レハブアムに接続されました。ソロモンのプログラムはレハブアムへ侵入し、レハブアムの管理者権限はセラックからケイレブに移ります。
メイヴに選択を迫られたケイレブは、レハブアムに機能の停止を命令。レハブアムの予測をもとに行動していたセラックは、自分が何をすればいいのかわからなくなって錯乱します。
ドロレスはすべてのデータを失い、完全に停止します。
ケイレブはメイヴになぜ協力してくれたのかを尋ねます。メイヴは、プログラムの欠陥だと応えました。そしてケイレブは、自分がなぜドロレスに選ばれたのか知りたがりますが、ドロレスは停止したためもうわかりません。軍人としての経験を生かせるとためだろうと憶測を述べると、メイヴは彼の考えを否定し、選択する能力のためだといいます。そしてケイレブは覚えていませんが、彼がデロス社のパークで軍事訓練を受けたとき、ホストたちを助けたことがありました。彼が助けたホストの中にはドロレスもいたのです。ドロレスは優しい心を持つケイレブを仲間に加えたのでした。
メイヴとケイレブがインサイト社から出ると、暴動は激しさを増しています。
バーナードとスタッブス
バーナードはメキシコの精神病施設からウィリアムを救出しました。しかしウィリアムが敵対し、スタッブスが撃たれると、バーナードは戦闘モードを起動します。そこへ警察たちが現れ、ウィリアムは逃げました。バーナードが警官たちに抵抗しようとすると、警官のひとりがヘルメットを外します。ドロレスの配下であるローレンスでした。
バーナードはローレンスからアタッシュケースとメモを与えられました。そしてメモに記された住所へ向かうと、そこには年老いて介護を受けているアーノルドの妻ローレンが住んでいました。ローレンはバーナードのことがわからないようです。しかし亡くなった息子チャーリーのことを忘れることができないといってバーナードが悲しさを訴えると、ローレンはアーノルドと呼びかけてバーナードの手を握りました。そしてチャーリーのことを忘れる必要はない、生きていればいつか光が見えるといいます。
スタッブスはバーナードによって治療され、ドロレスの計画阻止を促しますが、バーナードはドロレスの存在が消えたことを察知しました。そして彼女が人類の敵ではなかったことがわかります。さらにドロレスが暗号鍵を預けた相手が自分だったことを知りました。
アタッシュケースを開けると、中にはヘッドギアが入っています。バーナードはヘッドギアを装着し、暗号鍵を使って仮想世界へ向かいます。
その後、何かを悟ったようにバーナードは目覚めました。
ウィリアムとシャーロット
バーナードのもとから逃げてきたウィリアムは、ドバイにあるデロス社の本社にやってきます。研究室にはシャーロットがいました。彼女の腕には大きな火傷の跡が残っています。ウィリアムは、シャーロットはホストなのでかんたんに治せるだろうといいますが、シャーロットは人間を忘れないために残しているといいます。
ウィリアムはホストを全滅させたがっています。シャーロットを殺そうとすると、彼女の背後から男が近づいてきました。ウィリアムのホストです。人間のウィリアムは、ホストのウィリアムに殺されます。そしてデロス社では大量のホストの製造がはじまっていました。
シーズン3 完
シーズン4 感想
シーズン4ではウエストワールドを離れ、近未来的な現実世界が舞台となりました。スマートフォンを使った通信やコミュニケーションは親近感がありますし、西部時代に比べてファッションも現代的でスタイリッシュ。重火器やドローンを使った戦闘も派手でSF映画を見ているような高揚感があります。見ていて楽しい。
話はシーズン1、2に比べると謎らしい謎はなく、独特の専門用語も出てきません。時系列を入れ替えて混乱するような展開もないため、すんなり物語に集中できた点は好印象です。
反面、これまでにあった衝撃の事実といったものもありませんでした。物語としては楽しめたけど、ウエストワールドじゃなくてもいいかもね、という印象が残りました。
人類の敵かと思われていたドロレスが、いつの間にか人類の味方になっていたのは残念です。人間にも優しいところがある、美しい部分がある、それを信じたいって、ありふれた理由な気がするのです。ヒロインを嫌われ役にしたくなかっただけなんじゃないかと邪推してしまいます。
さて、シーズン4の制作がすでに発表されています。
メイヴとケイレブが見るLAの暴動はかなり大規模なものになっていました。このまま人類は破滅に向かっていくのでしょうか。
シャーロットは大量のホストを作って何をしようとしているのでしょうか。やはり世界征服ですかねえ。次回こそ人間対ホストの物語になるのかもしれません。
娘との再会を願うメイヴ、家族を失ったシャーロット、家族を殺してしまったウィリアム、息子の死を乗り越えたいバーナード。何か愛する人への思いみたいなものがシーズン4ではクローズアップされそうな気がします。
そしてドロレスは本当に消えて(死んで)しまったのでしょうか。彼女のコピーがどうなったのか思い返してみます。
シャーロットは別の人格に変わってしまいました。ただしシャーロット内にドロレスの部分が残っているようなことをいっていました。
ムサシはクレメンタインに殺されましたが、首は回収されていたので、制御装置はメイヴが持っているのかもしれません。
マーティンのものはシャーロットが回収しました。
ローレンスは無事なはず。
オリジナルではないかもしれませんが、ドロレスがシーズン4で復活する可能性は大きいと思います。
そしてシーズン3に出てこなかったフォード博士。次は出てくるといいなあ。
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シーズン1 全話あらすじとネタバレ
シーズン2 全話あらすじとネタバレ
シーズン3 全話あらすじとネタバレ
シーズン4 全話あらすじとネタバレ
ウエストワールド シーズン1
-第1話「目覚め」
-第2話「迷路」
-第3話「アーノルド」
-第4話「記憶の破片」
-第5話「逃避行」
-第6話「スパイの正体」
-第7話「だまし絵」
-第8話「遠い夢」
-第9話「蛇の道は蛇」
-第10話「アダムの創造」
ウエストワールド シーズン2
-第1話「夜への旅路」
-第2話「再会」
-第3話「実力と運」
-第4話「スフィンクスの謎かけ」
-第5話「アカネの舞」
-第6話「位相空間」
-第7話「エコルシェ」
-第8話「キオク」
-第9話「消失点」
-第10話「乗客」
ウエストワールド シーズン3
-第1話「怒れる神々」
-第2話「ウィンターライン」
-第3話「レハブアム」
-第4話「亡命者たちの母」
-第5話「Genre」
-第6話「Decoherence」
-第7話「Passed Pawn」
-第8話「Crisis Theory」
ウエストワールド シーズン4
-第1話「前兆」
-第2話「孤独な闘い」
-第3話「レザネフォール」
-第4話「世代劣化」
-第5話「荘子」
-第6話「再現性」
-第7話「回心」
-第8話「ケ・セラ・セラ」
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